シュマリ

重ね煮を煮ながら読みました。

手塚治虫の「シュマリ」
中学生ぶりだから、20年ちょっとぶりくらいの再読です。

シュマリ (上) (角川文庫)


このまんが。北海道の開拓をカッコ良く書こうとしたら
アイヌの滅亡と出会い、悩みながら書いたのだそうです。

シュマリが開拓した土地、石狩平野
中学生の頃住んでいた場所です。

社会科の副読本は「わたしたちのまち、いしかり」だったかな?
最初にアイヌの人達が紹介されていて、顔に入れ墨を施し
こちらを睨みつける写真がなんだか怖かったのを覚えています。

このいま立っている地面の下には泥炭層があり、かつては原野だった事
石油のしみ出す沼があり、開拓初期のイナゴの害の恐ろしさ
馬との出会い、炭坑の奴隷的労働、札幌のなりたち、といったことが書いてありました。

それについては、ふーんそうなんだとしか思えなかったのですが
シュマリを読んだ時にはじめて「わたしたちのれきし」に
血が通ったような感じがしたのでした。

とはいえ、まだ中学生ですから、
気に入らねーヤツをバッサバッサとなぎ倒し!
これでもかの困難を豪腕マッチョでやっつけて!
くそー自分もカタナにテッポウがほしいほしい!!!
っと廚二らしく思ったわけです。

今この本を読むと、南部芸者のねば強い美しさ
牛込神楽坂の風景、災害に立ち向かう人達がオーバーラップしてきて
忘れられない愛の事や、いわゆる成功はしないけれど心地よく生きている人の事
嘘なのか、思いやりなのか、、、そうしたさまざまな事が織り込まれていて、
そういうものが分かる年になったんだなあと思いました。