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地方は消滅・・・してたまるかああ!!!

読書

岩手県の元知事、増田さんが「地方は消滅するかもしれない・・・!」という衝撃的なレポートを書いたのが、去年の春ごろ。本がでたのが夏ごろ。いやいや本当こりゃ大変!!!ということで、岩手の本屋さんでは特集コーナーが作られ、人口減少どうでしょう本がブームになっております。

今日は、地方消滅の反撃本、「地方消滅の罠」のトークイベントに行ってきました。
会場についてびっくり!150人の会場が満席で、会場の外にパブリックビューイングが作られていました。そこも満席で立ち見ができていました。すごい!

地方消滅の罠: 「増田レポート」と人口減少社会の正体 (ちくま新書)

地方消滅の罠: 「増田レポート」と人口減少社会の正体 (ちくま新書)

以下、自分が気になった所のノートです。かなりはしょっています。

著者の山下さんは、弘前大学で17年間、限界集落の研究を続けてきました。地方活性化の為にありとあらゆるイベント、ありとあらゆる政策を実行してきましたが、いろんな事がうまくいかない。地元の人は血のにじむような努力をしているのに。それがなぜかを知る為に、東京に転勤する事にしました。

東京に住んでみてわかったのは、東京の人は東京の事しか見えていない!
青森の山奥に住んでいる人たちは、ディズニーランドや銀座に行ったりしているので、東京のことはかえってよく分かっている。でも、東京の人は青森の山奥の事をぜんぜん知りません。知らないのだけど、地方創生とかはじめている。そりゃずれるわね。


「地方消滅」については。岩手県の元知事さんが書いたレポートだから、きっと味方になってくれるに違いない・・・と思ってみたら、これもまた弱い地域は捨ててしまおうという提案がなされていてがっかりしたそうです。自分が見てきた限界集落では、収入が低いから貧しいかというと、ぜんぜんそんな事はなくて。海や山のめぐみで十分暮らしていける。年金から孫にお小遣いを出せる余裕がある。だから一言言わなくちゃと書いたのだそうです。


こんなに豊かなのに、経済主義に組み込んだとたんに、ただの山、ただの海になってしまう。お金を生み出さない物が何の価値もないようにされてしまう。

一緒にきていた宮台真司先生。
学問の世界では、地方の存続に2つの方法があるとされているそうです。

①中央に組み込まれる
②自立的な経済圏を作る

①は大企業の誘致とか、ダムを作るとか、そういう事。
短期的にはいいけれど、景気が悪くなったらさっさといなくなる。地域を豊かにするより経済を優先するから、がんがん買いたたいてくる。最初は甘い事を言って、後からどんどん依存させ逃げられないようにしたりする・・・!悪い男みたいですね><。

②は自立していく事。切り離されてもぜんぜん大丈夫って状況を作る事。+αで外貨を稼ぐって意識を持つ事。(これについて、もっと詳しく聞きたかった!)

①の中央システムの一番まずいところは、人は入れ替え可能であること、なんだそうです。貧しくなれば転居すればいい。これは・・・わかる。ファミレスとか儲からなければすぐ撤退だし、派遣社員は即戦力の若くて見た目のいい人から採用される。いまいる地域・人を豊かにするのは効率が悪いと考える。

(山下先生)
たとえば出生率が下がり続けているけれど、子供はぜいたく品やペットと同じように評価しているんですね・・・。だから仕事の邪魔だし、効率の悪い物だから切り捨てる。その結果としての少子化であると。。。

以前の地方では、おじいちゃんおばあちゃんの世代が地域ぐるみで面倒を見ていた。20代、30代の子育て世代は、安心して子供を産む事が出来た。それを経済で計るとまったく表れてこない。それで効率の悪い田舎は統合してしまえとなるけれど、統合した先には、子供をみんなで育てようというコミュニティはない。その結果、東北の田舎でも少子化がすすんでしまう。


震災の時、弘前大学では受験の真っ最中。実家が被災した学生さんは家に帰れない。大学生協と協力して一週間かけて自宅に送ったのが最初の活動。その後、野田村へ。被災してなにもないけれど支援物資が大量に届いていた。体育館の底が抜ける程の物資であった。山田町では長蛇の列ができていたが、大量の物資を見せて、時間はかかるけれど大丈夫だ、安心だよというデモンストレーションをしていた。このように東北の震災は大変だったけれど「飢える」心配はまったくなかった。

東京ではどうだろう。72時間は自宅の備蓄で乗り切る。その後は補給がなければ大変な事になる。ピンポイントの災害であれば補給は期待できる。でももし、今回のように広域の災害であれば?東京にとって震災とはなんだったのだろうか。

90年代以降、東京と東北のつながりは強くなりすぎた。以前は自立した経済圏を構成していたが、今はもう分ちがたい同質な経済圏のなかにいる。東北では被災のない地域でも物流が途絶えた。店からはモノがまるで無くなった。それでも乗り切れたのは、田畠があったからだ。

東京との一体感で印象的な出来事。
福島での事。地元の活性化の為に原発を受け入れた。一時の踏み台のつもりだったが、いつのまにか依存させられていた。契約したときは神様とおもっていたのに、気がついたら悪魔であった。そして結局切り捨てられた。いま原発廃炉に30年かかると言われている。廃炉の技術はたしかにものすごくすすむと思う。ロボット工学はうんと進歩する。イノベーションの前線になる。それで地域が活発になったとして、汚染された田畑に人は戻るだろうか?使命感をもって決死隊のように戻る人もいるが、それで子供から老人まで安心してくらせるコミュニティが戻るだろうか?まさに人間なき復興である。

(宮台先生)
沖縄の島では、以前は一日一便の船しかなくて不便だったけれど、そこには生活のすべてをまかない、子供を産み育て、豊かなコミュニティがあったそうです。それが、りっぱな橋が出来、本土とつながった途端にコミュニティが崩壊してしまったそうです。ストローみたいにちゅうちゅう吸われておしまいです。

全国各地でバイパスができて、生活は便利になったけれど地域コミュニティが崩壊した例は枚挙にいとまがない。だけれどそのことが共有できていない。便利になりますよ、豊かになりますよ、といわれて飛びついてしまう。そして豊かさを吸われて、抜け殻しか残らない。

(山下先生)
市町村合併により、よかったという人がいない、二度とやりたくない。行政効率をあげるために実施したが、病院も学校も遠くなってしまった。そして人がいなくなった。人口が減るから、小さな自治体を統合して少ないリソースで豊かな生活をしましょうという流れにだまされてしまった。得体の知れない欲望の海が迫ってくる感じがしている。

地方が消滅しないためには。
グローバル経済のことをよく理解して、吸われるだけでなく、自立した経済を築くことが大事みたいです。きっとそれって、個人の生活にも言える事なのではないでしょうか。そして、こんなにたくさんの人が、たくさん考えてくれているなら・・・きっと消滅じゃない、素敵な未来になるんだろうと思いました。