おしゃれカフェでホームレスの漫画を読んだ・・・感動した。
とあるおしゃれでかわいいカフェ。本棚には絵本やふんわり小物の作り方とかの本。その中に全然似合わない本が一冊ぽんと置かれていました。
- 作者: 福本伸行
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2003/06/30
- メディア: コミック
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すご腕営業マンにこんな話を聞いた事があります。
「違和感を見つけるんだ。全身ビシッと決めている奴がボロボロのペンを使っていたりする。それは明確な意思があるんだ。ジンクスとか大事な思い出とか。そこにヒントがあるんだよ。」
だとすれば、この本になにか意味があるはず。おしゃれなアイスコーヒーを頂きながら読みました。
・・・ええい、めちゃくちゃいい話じゃない!!!
続きが気になって仕方がないので、まんが喫茶によって読んでしまいました。
(以下ネタばれ感想です)
一巻目はどーしよーもない(けどとある事件のヒーローらしい)黒沢というおっちゃんが脳卒中で倒れて8年、昏睡状態に陥り・・・そして目覚めるところからはじまります。もうね、8年だから。足の指が動く、声がわずかにでる、そんな些細な事が「黒沢・・・っ!」って滾るんです。生きてた立った動いたに感動するのだけど、中身はおっさんで隙あらばエロいことしたい。エロが強力なモチベーションになって不可能が可能になる。だから誰からも鬱陶しがられる。50代半ばで復活されても社会的に受け入れる先がないという悲しさ。そして仲間のために暖かなベッドと食事のある生活を捨ててしまいます。
- 作者: 福本伸行
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2014/05/30
- メディア: コミック
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何もなしでとにかく脱走。そうするとハラが減っていきだおれる訳です。そんなとき優しいのがホームレス。バカなこともするけれど、自分の取り分をだまって新米の黒沢にわけてやるんですね。。。そして思いやりでぎりぎりつないだ貴重なものを、貧しい物同士で奪い合い殴り合うシーン。貧しいとどんな気分になるか。なぜ理不尽な事をしてしまうのか。それでも分かりあえる可能性があるというラストでした。
- 作者: 福本伸行
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2014/07/30
- メディア: コミック
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ほんとやばい。お金持ちの人の尊厳を守る為に戦うんですよ。そこには誰がどうだか関係ないから、守るべきものは守るんだって。守りきった後で、そのお金持ちから侮蔑されるのですが。それでも人として生きるためにやりぬく。泣けます。あっちとこっちが大きな川で分断されていて、向こう側がわからないだけなんだ。同じ人間なんだってがんばるんです。
- 作者: 福本伸行
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2015/01/30
- メディア: コミック
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夏の暑い盛りのホームレス暮らし。公園の水が断水するところからドラマが展開します。水を汲むのがうまいのがガンコで知恵おくれでガタガタの顔のこじえもん。この人をだましたり奪ったり守ったりするんですが、もう人間不信の固まりで何回助けても悪態をつきまくる。読みながらも普通の神経では二度と関わりたくない!と思うのですが、最後にはイイ感じになってなんか泣けてきます。
4巻夢中になって読みました。「幸福は一種類しかないが、不幸は人それぞれに千差万別だ」という言葉を思い出しました。
昔々ほんのちょっとの間ホームレスになった事があって、福祉はほとんどの人を助けられないということに後で気がつきました。想定した人は助けられるけれど、想定外の人は助けられない。その狭間で人間不信に陥ることが最もキツい事と思いました。だけども千差万別の事例をカバーできる制度などつくりようがない。
そして、ホームレスを蔑んでいる人ほど、ホームレスになるぞという脅しがききます。そして簡単に奴隷のようになってしまいます。人間性を失っていくのです。
面白い事にホームレスから社長になった人って結構います。ちょっとした交流会などで大変な時代もありましてね・・・と話しかけると「実は私も・・・」というのです。ゼロから考えるのでかえってスタートしやすいのかもしれません。でも多くの人にとってそこは地獄の底です。
川の向こう側の人達を迫害するのではなく豊かにする事ができれば。ホームレスになることが恐ろしいことでなくなれば、もっと安心して人々が暮らせるのではと思います。そんな多様性と可能性をユーモアたっぷりに紹介してくれています。
ところでおしゃれカフェにあった理由ってなんでしょうね。こんど店主に聞いてみたいと思います。