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災害の時、人々は助け合い奇跡を起こした。

防災 読書
今回はブックレビューになります。
前回簡単なレビューをしたこの本、災害の時に人々が感動的なほど助け合う一方で、現場から遠い人たちは何か恐ろしいことが進行しているのでは、という考えに囚われてしまいがちという話でした。

 

 

 
 
世界各地の災害をざっと100年分調べて比較してみた結果、いざという時人は助け合う。ヒーローはいない。だけどその場にいる普通の人がヒーローになる。少数の権力者が民衆は邪悪だと勘違いしてとんでもないことをしでかしてしまう。主にこうした共通点があるということでした。
 
この本の作者、レベッカ・ソルニットさんは、アジア圏の災害については文化と言葉が壁になって議論することができなかったそうです。では東日本大震災はどうだったというと、やっぱり共通して起こっていることがかなり多い。(若干違うこともある)ということは文化の差を超えた人類に共通して起こるテーマなのだと思いました。
 
社会学では、災害とは自然現象と社会の脆弱さが出会ったときはじめて成立する現象だと定義しています。どんなすごい嵐がやってきても、誰も怪我せず無事だったらなら、それは単なる大自然すげえというだけなんです。だから人類に対して、災害が起こる前に、社会の脆弱さを少しずつ解決していくことをオススメしています。
 
私は、被災地だけではなく、その他の地域の方々にも、この考え方を共有していただけたらなと思いました。
 
プロローグは2005年のニューオリンズから始まります。ジャズ発祥の町です。人種差別が根強く残る街です。その中で、どんなに差別されても俺たちは自由だ!とすばらしい音楽が発達しました。
 
その街が壊滅的な打撃を受ける様子がテレビやラジオでながれました。全米からボランティアが駆けつけ、嵐の中で数千人もの人々が助けられました。住民たちはぎりぎりの所で助け合って命をつなぎました。
 
ところが、同時に飢えた黒人が街を襲い無法地帯と化しているとのデマが流れます。政府や軍隊、自警団、そしてマスコミがそれを信じ、広めました。そうして被災者が見殺しにされ、ボランティアは足止めをくらい、数百名もの被災者が虐殺されました。2005年のアメリカの話です。
 
なぜこんな奇跡と悲劇が同時に起こるのでしょうか。そのことをざっと過去100年分さかのぼって調べて比較したところ、どうやらそうなるのが普通らしい、ということがわかってきます。
 
1章 1906年のサンフランシスコ地震
2章 1917年のハリファックスの大爆発事故
3章 1980年メキシコシティ地震
4章 2001年9月11日のニューヨークのテロ事件
5章 2005年のハリケーンカトリーナ
 
これらの災害について詳しく調べれば調べるほど、奇跡のような助け合いとひどいデマによる二次災害が同時に進行していたそうです。その他、ロンドン大空襲、中国とアルゼンチンの地震チェルノブイリ原発事故、1995年のシカゴ猛暑、マナグア地震(この後政府が転覆した)ニューヨークの天然痘の流行、アイスランドの火山爆発、関東大震災もちょっとでてきています。
 
著者は結構辛口で、何故ふだんから災害の時のように助け会えないかというと、社会の仕組みそのものが、富裕層や権力層に最も都合がよくできているせいだと言い切っています。
 
でも、いざ災害となると、目の前で命の危機が繰り広げられると、上から押さえつけられていたことを忘れて、本来の人間らしさを取り戻す。普段の社会的規範を乗り越えて、人々がつながり、助け合う。それを災害によって出現するユートピアだと表現しています。
 
第1章から先は明日また読んで行くことにします。