都市の防災はどうなっているのか。高層マンション編。

去年の都市防災の授業にお邪魔したときのノートを書き起こしてみました。
(メモの書き起こしなので、多少間違っているところがあるかもしれません。)

三陸とは違って、コミュニティが成立しにくい中での防災計画の難しさと、それへのチャレンジについて語っていただきました。まず、マンションの防災についてです。

東京には、30階以上のマンションが約500棟あるそうです。
小泉改革以降の規制緩和でどんどんできたのですが、とにかく防災がおいつかない!
そのうえ、東京都の防災計画にはマンションは入っていないそうです。びっくり。


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東京都では、もし災害が発生したら、マンション住民の分の食料や水はないので、それで自分の分の食料・水は3日分備蓄しましょうと盛んに言っています。(港区で1週間分の備蓄を計画したが、とても無理という計算になったそうです。)

さて、大地震が発生したとします。
マンションの50階に住んでいるとこんな感じになります。

・災害情報や安否確認が全く入らない
・家具の下敷きになっても、誰も助けてくれない。
・大けがしても治療してもらえない

以前、新宿に住んでいた時は大きなマンションの8階に住んでいました。
5年住んだけれど、そういえば隣の人とは挨拶もしない関係でした。
防音もばっちりだったので、家具の下敷きになって「タスケテー!」と言っても聞こえないでしょう。これはかなり怖いなと思ったところです。


そのうえ、こんなことも起こります。

・寝たきりの家族を搬送できない
・エレベーターも電気も使えない
・トイレも使えない、水・食料もない

今は祖母は介護施設にいるので安心ですが、もし一緒に住んでいて、いざ災害のときに一緒に避難できるかと考えるとかなり難しいです。しかもマンション住民は地域の避難所に入れないので、助けが必要であることを何とか外部に伝えて、待つしかありません。

この後映像で紹介された、避難訓練ではケガ人担架で運ぶ練習をしていましたが、大人の人を1人運ぶのに4人でもかなりきつそうでした。下りは6人いた方がよさそうです。実際の災害の時に6人助けが集まれるか、、、「助けてください、けが人を運びたいんです!」と、効果的に助けをよぶ練習も必要なんだなと思いました。

トイレは・・・ほんと、1日でも水がとまると・・・厳しいです。1人1日200gのうんこをしますから・・・4人家族だと・・・(以下略)

・見知らぬ人が敷地内でうろうろしている
・学校避難所も一杯で入れない。

これも怖いですね。オートロックが切れると玄関が全開になりますから。学校避難所も町内会の人を想定していますから、マンション住民が詰めかけたらまずもって入りきれません。こんな感じでマンション住民が災害にあうと、たった1日でかなりシビアな状況に追い込まれるということがわかります。

災害が発生した場合に備えて、自主防災の会を立ち上げたマンションがあるそうです。まだ数は少ないけれど、こうしたいざというときのリスクをチェックして、お互いにカバーし合おうという動きです。

問題はやはり若い人の参加が少ない事です。ですが、若い人は働くことが大事です。先のマンションの自主防災の会でも、主力になったのが引退したおとうさん達だったそうです。いざ災害の時は若い人がスムーズに参加できる仕組みを作っています。安否確認は中学生が担当。停電してエレベーターが止まる中、50階建てのマンションの階段を駆け上がっていました。

こうした試みがもっとずっと広まってくれたらいいなあと思っています。

三陸沿岸部では、いま災害公営住宅が次々とできあがっています。
玄関をあけたら「あれっ?新宿にかえってきた???」と驚きました。
床も、廊下も、天井も、部屋の作りも、内装も、何もかも新宿の公営住宅と同じでした。

ということは、たぶん。
部屋の中で家具が倒れて「助けてー!」って言っても聞こえない。ドアが重くて外に出られなくなったんだよ、というお年寄り方がいらっしゃいました。いままで想定していなかった、都市防災の問題がここに急に出てきたぞ、という感じです。

会う人にはぽつぽつ話しておりますが、もっと緊急度の高い問題が山積みで、その話は後でになっています。どうか、次の災害がなるべく遅くきますようにと願うばかりです。