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3月18日は岩手大学のパブリック・フォーラムでした。

タイトルは「地域社会のレジリエンスとキャパシティ・ビルディング−被災地での岩手大学の実践と検証」rcrdm.iwate-u.ac.jp


普段しらない他のチームの様子を見渡せる機会になりました。この日に発表があったのは次の7つでした。

1)地域防災研究センターの緊急対応(311当日の対応など)
2)コミュニティ再建支援班の活動(伝統文化、お祭り、町づくり等)
3)心のケア班の活動(誰でもできる方法の普及から最新のケアまで)
4)防災と復興に向き合う教員養成プログラム
5)三陸ー岩手の水産業復興に向けた取り組み(鮭の研究の話が面白かった!)
6)防災・危機管理人材育成プログラムの開発
7)ディスカッション

1)地域防災研究センターの緊急対応(311当日の対応など)
「震災後の町づくりには、住民の言葉を元にした復興が大切。」これを国連防災会議の提言に入れてほしいと仰っていました。
これは、地元にいればこそだと思いました。日本を支えるシステムと地元の意思は中央から離れる程、離れているように見えます。対立したり我慢を強いたりする前に、理解がもっとすすめば、もっとよい案を実行できるはず。地元大学はその役割を担っているんだと思いました。

2)コミュニティ再建支援班の活動(伝統文化、お祭り、町づくり等)
 陸前高田の花壇、お祭りの復活、お年寄りも子供もいっしょに遊べるイベントの開催。仮設住宅の生活調査、傾聴訪問活動。道路や建物が復興しても人がそこに住まなければ何の意味もありません。
 その上で町づくりの計画を支援。どんな宅地にするか、次に津波が来たらどうしたらいいか。「孫が大きくなった時に、いいコミュニティを残したい」象徴的な言葉です。
 面白いのが「拡大コミュニティ」という考え方。人口減少していく中で、都市に住む興味関心のある人たちを、コミュニティの一員として考える事はできないだろうか、、、という試みです。第二の故郷をどんどん作るみたいな考え方です。

3)心のケア班の活動
 心のケアは最重要課題ではないでしょうか。無料のカウンセリングから支援者のケア、簡単にできるリラクゼーション法やストレス対策の講座、スクールカウンセラーの派遣。
 それからトラウマのケアです。普段は心にフタをして平気な顔をしていても、ふとした言葉にトラウマを見る事があります。例えば、家族の事を悼みたいのに、一緒に津波の事を思い出してしまう・・・のような事です。簡単なタッピングタッチの普及活動から、深いトラウマ治療に有効な治療法の導入などさまざまです。(心のケアが必要な方は遠慮なく電話してください。→岩手大学人文社会科学部 こころの相談センター 電話 019-621-6848)

東日本大震災で被災された方へ ~無料心理相談のお知らせ~ | 釜石サテライトBlog


4)防災と復興に向き合う教員養成プログラム
 岩手県で被害にあった学校は374校。学内での犠牲者は105名だそうです。今の学生が将来教師になった時、子供の命を守ることができるように、また子供たちが自分で命を守るように、学校が地域の復興に役立つように、そういう教師になるように学生を教育しているということでした。


5)三陸ー岩手の水産業復興に向けた取り組み
 聞いていて面白かったのが水産!
 岩手県沿岸の主な産業は漁業です。その漁業が壊滅状態になりました。漁港を復旧し、船や道具を調達し、、、気が遠くなるような復興が続けられています。そのなかで、鮭は優等生だったのですが、震災前から水揚げ量が減り続けていた。ふ化・放流で一定の回復があるはずなのに、鮭が帰ってこないわけです。それはなぜかを研究してみた結果。どうやら11月に帰る鮭と9月に帰る鮭の2種類がいた。パッと見にはわかりません。DNA鑑定をして始めてわかった。北の川で11月の鮭を放流したり
南の川で9月の鮭を放流すると(流れに乗れないから?)帰って来れなくなるのだそうです。(元の講演が英語なので合っていますかどうか…)

6)防災・危機管理人材育成プログラムの開発
 目的は、地域社会のリーダーを育てる事だそうです。
2005年から2006年、防潮堤がなく津波リスクが高い町でワークショップを開催した。非常に危険だけれど、自分の家は大丈夫と思っている人が大半だった。そこで津波シミュレーションを実施、自宅が水没するシーンを上映したところ、町内会長がこれはぜひやらなくては!と避難訓練に非常に熱心になった。避難階段、ハザードマップ、避難路の整備が町内会で実施された。そのおかげで、レベルの高い防災が実現した。
 このようなリーダーを育成するためのプログラムを開発。津波のメカニズム、危機管理、現地の様子を体系的に学べる。
 また、学校教育では、情報が科学的に理解されるようにするため、地震津波、火山、洪水の仕組みを学ぶ教材を作成。
例)防災かるたー>これ展示で使ったのですが非常に好評でした!

7)パネルディスカッション
非常に多彩なディスカッションが行われました。面白かったところを書き起こします。

・このフォーラムのタイトルの「レジリエンス」とは、負けない、柔軟という意味です。柔らかくしなって折れない。七転び八起きと言ってもいいです。「キャパシティビルディング」は組織の能力を向上させることです。→なるほど!

・大学とは、すぐ答えが出ないことをどう語るかが重要
・少し前は人口が多かった。浜ごとに学校、病院があり、独自の文化を持っていた。
・現在は人口が減った。となりの浜のことをしらんぷりできなくなっている。地域のさまざまなリスクを乗り越えられる人を育てたい。東北は人が育つ試練を与えてくれる土地である。

神戸大学にとって防災は実践である。
1990年代は発展途上国の災害が相次いでいた。国連でも重要なテーマだった。ところが最初の国連防災の10年の最中に阪神大震災が発生、まさか自分の足元がこんなに脆弱だったとは、、、衝撃だった。都市の脆弱性がはじめて明らかになった。そして都市安全センターを作った。

三陸津波リスクが世界一。
国連では貧困層を半分にするという目標を掲げていたが、予想外に紛争が広まり難しかった。宮沢賢治の「雨にもまけず、風にもまけず・・・」これこそが国連が今までやってきたこと。最後の交渉が明日の4時まで。がんばります

・昭和8年の津波のあと、当時の町長が「漁師が山にいってどうするんだ。」と堤防をつくり、避難路をつくった。田老で大勢の犠牲者がでたのは堤防で海が見えなかったせいだという議論があるが、それは違うとはっきり言いたい。(昭和8年の津波の時は、生き残って家を守りなさい。「つなみめいめいこ」と教えられたという。)

国連CSO(市民社会),NPOとどうやっていくか?

ざっくりこんな感じでした。
地元の大学として、岩手のあるべき姿を伝えていくのが第一の仕事なのだなと思いました。復興計画を見ていると三陸を東京にする気なのかな?と思う事があります。たぶんこれは三陸の文化や価値観が計画チームに浸透しきっていないからではと思います。
 津波のリスクが世界一の所になぜ住むのか。これを明確に伝えることができればいいなあと思いました。